銀市場加熱、価格情報の理由をプロが語る

かさばる便は独特の市場

今日は日本の個人投資家向けに、金以外の貴金属に関する基礎知識を話してほしいんだ。例えば銀価格が上がったことで、個人も関心を持ち始めているのだけど、銀は流動性が低いから下落したときの影響が大きい。「ドクターウォーカーの銀・プラチナ=パラジウム概論講義」という感じで。

 

まず銀について話そうか。僕は20年前から年2〜3回は日本に来ているけれど、今回、初めて貴金属業界の人から「銀について教えてほしい」と言われたんだ。こういうことからも、関心の高さがうかがえるね。

 

銀が注目されている原因は、何といっても需要の伸び。特に工業用が伸びている。最大の成長部門は太陽光エネルギーに使う銀の膜。これは3〜4年前はニッチ市場だったのが、徐々に主流になってきている。

 

今、泊まっている東京駅前のホテルの窓からもソーラーパネルが見えるし、東京のドラッグストアをのぞけば、銀の消臭効果をうたった製品が並んでいる。身近なところでも銀需要の伸びを感じるね。

 

金と銀の違いは?ウォーカー 最大の違いは利用価値の有無。金は使って役立てるものではなく、金庫に置いてあると人々が安心感を覚えるもの。一方、銀は二つの面がある。ひとつは銀貨などマネー的な使い方、もうひとつは工業用のコモディティーとしての面。今は工業用と投資需要の両方が目立ってきて面白い時期だと思うよ。

 

ETFの登場も貴金属市場を大きく変えたね。流動性と透明性が確保され、個人投資家が気軽にアクセスできるようになったよ。ETFの裏づけになる銀はロンドンの保管会社(カストディアン)が保管しているのだけれど、かさばるので扱うのを嫌がるという特徴もあるんだよ。

 

その結果、現物を借りるリース市場で出し手が不足し、現物価格が先物価格より高いという逆ザヤが生じやすい。要は現物の手当てがすぐにできず、これが現物不足の思惑をかきたてやすいんだ。

 

銀は流動性が限定的だよね。ウォーカー そうだね。例をあげようか。98年にバフェツトが4000トンもの銀を買った。そのせいでリースレートが上昇し、数週間で銀価格が倍に上がったんだ。ところがバフェツトが売りに回ると、数日で価格が元に戻ってしまった。流動性が低いために、大口の取引をすると、自分の取引で価格が動いてしまうという問題が起きる。

 

銀価格は1日に平気で20〜30%動く。個人投資家が銀投資を始める際は、この点をよく知っておく必要があるね。

 

 

 

パラジウムに強気の理由

今、銀は買いといえる?

 

今の価格で買うのはリスキーだね。(対談時点の銀価格は35ドル)。GFMSの分析では、銀価格は今年20〜50ドルの間で動き、妥当な価格はIオンス30ドルくらい。

 

次にプラチナに話題を移そうか。

 

プラチナはここ5年ほど供給過剰が続いている。同じ状態があと4年ほど続くだろう。価格上昇の理由は、実需ではなく投資需要だ。特にプラチナは、産出国である南アフリカの供給リスクに対する保険のような買われ方をしているのが特徴だ。南アー国でプラチナ生産の8割を占めているから、政治的な要因などで南アからの産出が減ることはリスクとみなされる。また、プラチナは地上在庫(400万オンス)が年間需給量100万オンス)に比べて小さいことも価格押し上げの要因になっている。

 

・プラチナの加工用需要は、半分近くが自動車触媒用。宝飾用、産業用が続く。
・高価格のため不足している印象が強いけれど、実はプラチナは'05年以降、供給過多になっていることがわかる。

・プラチナの価格変動は激しく、2200ドルまで上かって790ドルまで下がったこともある。

 

パラジウムはどうかな。

 

実はパラジウムは実需が供給を上回る、供給不足状態が既に16年間も続いている。不足分は地上在庫から引き出してきて実需を賄っている状態なんだ。金も銀もプラチナも地上在庫は増え続けるが、パラジウムだけは減っていく。だから、パラジウムに強気なんだ。

 

・需要の大半は自動車触媒用。宝飾や投資需要はまだまだ少ない。
・供給量はあまり増えていないのに、加工需要が急増しているので、供給不足が続いている。

・市場の流動性が小さいので価格変動が激しい。500ドルからいっぺんに180ドルまで下がったこともあるほど。

 

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